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[コメント] スリーピー・ホロウ(1999/米)

白、灰、青、といった冷たい色の中に映える、赤い鳥、赤い扉、赤い血。造形美が素晴らしいだけに、脚本を急ぎ足で消化していくばかりの演出、編集には大いに疑問。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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新世紀は科学だ、といった信条の主人公が途中からあっさりオカルトを受け入れる辺りにバートンの堪え性の無さを感じずにはいられないが、魔術=母、キリスト教=父、という構図によるトラウマを主人公が克服する物語として見れば、現世的な利益を求めて陰謀を遂行しようとするオヤジたちと、それに復讐しようとする魔女、その両方を、魔術を使う恋人と共に、合理的な推理との併せ技で立ち向かう、という展開には、それなりの説得力はある。

赤い鳥の絵と空の鳥籠が表裏に描かれた紙をクルクルと回転させて、残像で「鳥籠の中の鳥」を見せる場面は、「捕まえたい」という気持ちと「自由を奪いたくない」という心情の解決策として示されるが、この映画での、ファンタジーへの憧れと、理性による迷信の打破、という二つの主題の間でバランスを取っている事の暗喩にも思える。主人公も、調査に乗り出す前に、自宅の鳥籠から赤い鳥を外に放っている。単に「出掛けている間、餌がやれないから」という理由ではなく、彼自身のトラウマからの解放を表わす暗喩として見るのが正解だろう。

(評価:★3)

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