[コメント] キリング・フィールド(1984/英=米)
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軍隊や国の正義を題材とした戦争映画とはかけ離れた映画だ。主人公は戦地で取材するジャーナリストたち。当然、在りがちな正義などは登場しない。この映画で表されているのは白人とカンボジア人、人種の違うもの同士の友情だ。戦争の苦悩の中で出会い、協力しつつもお互い離れ離れになっても耐えぬ友情。戦争など無く、平和であればどんなに素晴らしいかを思わせてくれた。
序盤から、派手な爆発シーンやヘリコプターが登場し、戦場後の様子なども良く描かれていた。不毛な雰囲気が表されてたと思った。タイトル通り、映像からはキリング・フィールドを見ることが出来た。中盤になり、シドニーとプランが離れ離れになってからは特にラストへの伏線としての役割が大きかった。アンカの下で辛うじて脱出を試み、四苦八苦の末に安全を確保するプランの姿からみえる懸命さが心に響く。実際の経験と肉薄した役柄を演じたハニン・S・ニョールだが、実は見終わってからこの役でアカデミー助演男優賞を受賞していることに気いたのだが、それも文句なしに納得できる。苦しい時間を過ごすプランのことが忘れられず、何としても捜し求めたいシドニー。ジャーナリストとして賞を受賞すると批判されたりもしていたが、彼の発言は常に本心であり、心からプランを求めるのが、プランの苦悩の旅と交互に映し出されるのを見ると良くわかる。プランが発見された時のシドニーの心情は心から喜びに満ちている。そして、無駄な過程を省き、突然プランの前に現れるのが良い。
違う人種同士の微笑ましい友情物語の結末だが、ラストのImagineはニクイ。でも、そのニクイくらいの挿入歌は活きてたと思う。内容にプラスαで印象に残ってしまった。Imagineはいわずと知れた名曲であり、歌詞の内容には平和に込めるメッセージが詰まっている。映画を全編見てれば、Imagineの歌詞は映画を象徴する内容だと気づく。ハグし合うシドニーとプランの姿だけでなく、周りの少年少女たちの表情も画面に現れるのが、また歌詞とシンクロした。確かに、狙いすぎでしょという批判があるのは納得も出来る。もしラストに至るまでの過程がしっかりと描かれていなければ、自分も狙いすぎの一言であっさり片付けたであろう。だが、全編を通してすごくしっかりした映画だからこそ、自分はラストもすんなり受け止められたのだと推測する。ジョン・レノンの曲、そしてこの映画が詠う"平和"というものの素晴らしさを無言で感じさせてくれた。
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