[コメント] 13F(1999/独=米)
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仮想世界へ脳ダウンロードの度にご親切に目が光るのも、「世界の果て」がいかにもなワイヤーフレームなのも、ラストで未来社会の映像が入るのも、ぜ〜んぶローランド・エメリッヒプロデューサーの親身のアドバイスのおかげなのだとさ。監督は遠慮してなのか本心からなのか「彼には大変感謝している」「分かり易くする事の大切さを教えられた」とか色々褒め言葉を口にしてたけど、上記の3つなんかはこの映画でよく挙げられる欠点じゃないでしょうかねぇ。1930年代アメリカの街並み再現というVFXの使われ方と、他の所のVFXの使われ方とを見比べて、どうも同じ人の発想とは思えずにいましたが、思った通りその裏にはプロデューサーの影が潜んでいたようです。
しかし、肝心の仮想世界が危険極まりない代物というのが説得力不足で一番勿体無い。あんな物騒なモノでは作りたがる人間の気もやりたがる人間の気も知れない。プレイ中に死ぬと仮想の側の人格が上ってきちゃうっていうのも、「所詮ここもあちらと同じ仮想世界に過ぎないのかもしれない」という風に現実/虚構の曖昧さを表現しているとも取れなくもないが、致命的な欠陥を抱えたプログラムを使っている事に他ならないのでどうにも納得し辛い。
良く悪くも地味な作品。抑えを効かせた正統派路線でキワモノ因子(『ダークシティ』なんかはキワモノ度が高い?)が無いとも評価出来るのだが、この手の作品は多いだけにもう一押し何か欲しい所。やはり盛り上がりにも欠けている。別に派手なVFXシーンなどいらないのだが、もう少し映像にも遊び心があってもいいのでは?このジャンルにもこういう真正直なのが一本くらいあった方がいいのかも知れないけど・・・。
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