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[コメント] 海底王キートン(1924/米)

ナンセンスのブレイク度があっぱれだが物語る軸を生かせていないSO-SO作品
junojuna

 キートンは本当に面白い人だったんだなぁとあっぱれな気持ちでいっぱいなバカ作品。しかし、最初から最後までバカが徹底していればなお良かったとバカの瞬発力が時代の先を行っている分、惜しい感じも否めないあと一歩的な作品ではあった。キートン作品が長編となって少々その闊達なバカっぷりが希釈されてしまうのは、論理的な整合性を突き抜けるナンセンスな強度があまりに突出していて、物語としての枠を生かすことができていない点にある。どうにも各シーンがギャグアイデアのホームランといった感じで、連鎖的な適時打としての確かさに届いていない不安定さがまだまだ残っている。ビッグアーチは、キートンが海底に降り立ったところでカジキマグロを捕まえて、二匹目のカジキマグロとフェンシングをするバックスクリーン直撃バカや、未開の地へ連れ去られたキャサリンを奪還すべく海底から現れた異界人さながらのキートンが、キャサリンを取り戻しナビゲーター号へ戻るその手法が、潜水服を着たキートン自らが舟となってキャサリンに漕がすといった場外バカである。なんとも芸術的な放物線バカ。長編のアイデアを練るうちに生まれたバカなのであろうが、その仕事は単発のうちに描いた方がよりインパクトの強いファルスとなったことであろう。それにしてもシュールによらずナンセンスとは天才の所業であることは間違いない。

(評価:★3)

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