アメリカン・ニュー・シネマ的なカップルにちょっくら陰毛が生えたような奴らの破天荒な殺しっぷりをキナ臭い映像で覆った前半は、まるで夜通し抜きっぱなしのオナニーみたい。同じ映像（あのジジイとかワケ分からんショットとか）を何遍も垂れ流し、所々映像をモノクロにしたり荒くしたと、やたら忙しなくシコシコしてるせいで、殺しのシーンは過激さや暴力性を逆に失ってるように感じ。センスの欠片もない。

それなのに後半の展開で突然メッセージ性を全面に押し出して、ミョーに社会派気取ってるんだからたまったもんじゃない。メディアやら囚人が暴走するまえに、監督、あんたが一番暴走しちゃってます。とりあえず一発ヤクでもキメて落ち着いて下さい。押しつけがましくてウザったいです。

タランティーノの原案を素直に脚本にして映画化してりゃ、「パンプキンとハニーバニー＠パルプ・フィクション」に『トゥルー・ロマンス』+αが加わって、そんでもってクールだったんだろうな。タランティーノが不満言いたくなるのも無理ない。