[コメント] 西班牙〈スペイン〉狂想曲(1935/米)
ファム・ファタールものは感情移入が難しい。
フランスの官能詩人ピエール・ルイスの『女と人形』を元にした作品。未読だがあちらの谷崎潤一郎『痴人の愛』、いや逆か、その元ネタみたいなものだろう。
文章で読む際には読み手それぞれが無限に組み合わせられる「悪女」のイメージが、映像化作品だとそれを演じる女優に限定されてしまうこのジャンル、女優にとっては正しく挑戦であり、映画の出来はその女優の魅力に左右される。
今回、ディートリヒの骨がちのルックスに性的な魅力を感じず、いつになくコケティッシュな振る舞いに警戒心を抱いてしまった自分は、劇中人物が味わったのと同等の苦悩・断絶・喜びを得ることが出来ず中途半端な思いのままラストを迎えることになった。
bunq様のコメントにもパルテノン多摩のチラシにもあるが、本作は「ディートリヒ唯一のお気に入り」だそうだが、皮肉な言い方をすればそれは、ディートリヒを最も愛したファンはディートリヒ自身であったという事実の証明に過ぎないのではないか。
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