[コメント] 愛について、東京(1993/日)
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平田昭彦似のウー・シャオトンは黒沢あすかをやくざの藤岡弘に囲わせたまま「このままがいい」なんて云う。どうも意味が判らない。金が必要な留学生のイロニーを描くのだろうか。軽犯罪ばかりさせて、ラストも軽犯罪続けるぜ、みたいな終わり方。黒沢と藤岡がふたりして消える収束も肉付けが薄いから感慨も薄い。
送別会される中国人留学生は日本に来て失敗した、勉強できなかったと嘆いているが、どういう具合に失敗したのかさっぱり判らない。日本人の二号になった彼女を刺し殺す中学生も嘆きも薄い。一方の国へ帰れと罵声飛ばす恥ずかしい日本人たちも杓子定規で不満。馬鹿どもを具体的にやり込めるいい機会なのにもったいない。テレビをつける消すの喧嘩とか、店長に泥棒と間違われる店員とか、彼女とやった思い出のでんぐり返りをひとりになって繰り返すとか、ネタが古臭い。何なのだろう。ホウ・シャオシェン風のタッチの積りなのだろうか。安藤も冴えない。
パチンコ経営するやくざの藤岡弘はときどき山村聰に見える瞬間がありいい造形。妻が戸川純とは驚くべきカップルだった。留学中国人たちが住まうのはトキワ荘のようなアパートだが1990年と貼紙にあるから現代の設定。もう30年も前の話だ。パチンコ屋のモニターの使い方が判るのが面白い。拳銃持っている件は何だったか、台湾映画っぱい。と場での牛銃殺のバイトは即物的に描かれている。
DVD冒頭に字幕「本作品では、中国人留学生がと場で働く場面が登場します。が、製作側にと場とそこで働く人々の差別による苦難の歴史についての十分な理解が至らず、と場の表現に配慮を欠き、結果、関係各位にご迷惑をおかけ致しました。/と場の表現方法などに関して、製作側は「部落解放同盟東京都連・品川支部」及び「全国一般労組東京南部支部・全芝浦と場労働組合」と再三に渡り話し合いを持ちました。/その結果、製作側は自らの内なる差別意識の存在を自覚させられ、それを対象化する作業として、一部に修正を加えました。そして改めて、作品を通じて観客と共に差別問題を考えていこうという方向性を確認しました。/ご迷惑をおかけ致しました関係各位の方々に深くお詫び申し上げます。/「愛について、東京」製作委員会」
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