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[コメント] ひなぎく(1966/チェコスロバキア)

クレジットバック。大きな歯車が回る。そこに空爆、空襲の俯瞰ショットがいくつも挿入される。クレジット開けは、モノクロ画面で板塀をバックにビキニ水着姿の女の子2人。ブルネット娘とブロンド娘。
ゑぎ

 ブルネットがブロンドをひっぱたくと、カットを換えて、緑の草原に倒れるブロンド。カラー画面に転換される。このように時空を軽くジャンプするカッティングが多数ある。また、モノクロとカラーの転換も頻出するが、モノクロ画面は様々な色に着色(染色?)されている。

 2人の娘のパパ活みたいな、ジジイや中年男性相手の食事シーンも反復される。皆、ブルネット娘が目当てのよう。ブロンド娘は食べまくる。これらの場面を含めて、本作は、2人の娘がずっと食べまくる映画だ。ベッドの上で2人が食べるシーンは、かなり不快に感じる。

 ジジイたちとは皆、駅のホームで別れる。列車の最後部車両から微速度撮影で撮った線路、軌道の画面処理は光が流れて独創的だと思う。こういう部分は今見ても古びていないと思う。蝶と蛾の標本を、短いショットでカッティングする部分なんかは古いと感じるけれど、製作当時としては、斬新だったろう。

 クライマックスは、ホテルの料理用エレベーターで上階のまだ無人のディナーパーティ会場に入りこんだ2人が、まったく傍若無人に荒らしまわるシーンだろう。テーブルの上の料理をヒールで踏みつけながら歩くショットは、激しい嫌悪感と共に、快感も覚えてしまった。シャンデリアが落下して、繋がれたカットで、こんな結末しかなかった、という字幕が入るのは面白い。終盤になって、クレジットバックの大きな歯車が出てきて、空爆、爆弾の炸裂イメージが再登場する、というのは落ち着きの良い構成だ。こんなところでも、とてもしっかり考えられて作られていることが分かる。

(評価:★3)

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