コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ヴァージン・スーサイズ(1999/米)

ストーリーはつまらなかったのだが、少し靄がかかったような独特の空気感が気に入ってしまった。言葉にし難いが、ソフィア・コッポラの天才的な芸術センスが伺える。全体的に未完成感の残る映画だが、丁寧に撮られているのが良く分かる。
Pino☆

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ストーリーはどうしようもなく破滅的で、好きになれそうにはない。が、この映画、好きか嫌いかと言えば、おそらく好きと答えてしまうだろう。

 ストーリーは記憶に残りそうにない。が、幾つかのカットはいつまでも記憶に残りそうだ。中でも、電話でレコードを聴かせるシーンは、美しくて、切なくて胸にジーンときた。最近の映画で、あんな感じの映像にお目にかかることは滅多にない。

 他にも、明け方のアメフト・グランドに、ラックス(キルスティン・ダンスト)が寝ている(というより放置されている)姿を俯瞰しているシーンや、トリップ(ジョシュ・ハートネット)が初めてリスボン家を訪ねたときのの帰り際、車の中でラックスとの濃厚なキス・シーン、校庭でランチをしている姉妹を見つけて、ラックスに言い寄るトリップが軽くあしらわれるシーンなど、映像として印象に残ったシーンは多い。

 私は、数々の偉大な作品を残した親父と比較して、ソフィア・コッポラには才能が無いと見下すのは、まだ時期尚早だと思う。少なくとも、上記の映像には、彼女独特のスピリチャルな部分を上手く表現する才能の片鱗が伺える。そして、これだけ破滅的な内容の映画ながら、不思議と優しさを感じるのも、1つの才能だろう。

 今後、彼女がどんな映画を製作するか分からないが、彼女には、エンターテイメント性の高い大掛かりな作品よりも、芸術性を重視した小規模な作品が向いているような気がした。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。