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[コメント] コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って(1993/独=露=日=スイス=タジキスタン)

水溜り?大きめの缶が流れている。小石を投げて缶に中てる青年ダレル。後ろから男が来て、ダレルは金を渡すが、もう1人来て、ダレルと2人で、金を取り返す。この冒頭から、ずっと銃声や、爆弾の音がオフで聞こえている映画。
ゑぎ

 続いて、5、6人の男たちがバクチをしているシーン。サイコロではないが、3つの石を投げて、出た目(?)に賭けているようだ。中に冒頭の青年ダレルもいる。金が無くなっても、もう一回、としつこく続けようとする男はドナイ。最終的に全財産を賭けると云う。相手(親)のイブラキムも、もうやめろ、と云うが聞かない。賭場のすぐ側の川には死体が流れて来る。

 ドナイの娘のミラ−パウリーナ・ガルベスはとても美しい女優だ。都会から帰省して来る。お父さんの部屋で、2人でダンスする場面がいい。回転運動の画面。ドナイから全財産を巻きあげたことになっているイブラキムが、部屋を物色しに来る。ダレルもいる。イムラキムは、目ぼしいものがないので、娘が欲しいと云う。冗談か本気か、よくわからない。お父さん、私を賭けたのね、私はモノじゃない!とミラが云うのは当然だが、ダレルがミラを連れ出して逃げる。ジョークだと思うが念のため、という感じだが、戒厳令で外は夜間外出禁止にも関わらずだ。ダレルはミラに一目惚れしたということだろう。

 ダレルは、自宅ではなく、いつも使っている(?)部屋にミラを連れ込む。なぜか、石が投げ込まれ、ガラスが割られる、というのは、この監督の得意技か。2人はマットレスの下で結ばれる。翌日、ダレルの職場のロープウェイへ。ロープを巻き取る車輪の回転運動。夜はホテル代わりにゴンドラを使いに来るカップルがいる。男は『少年、機関車に乗る』の運転士だ。その後、ダレルとミラが花火のような曳光弾を見る場面が綺麗。

 本作でも、クレーンを使った流麗な移動撮影や、俯瞰ショットといったゴージャスな画面が随所に現れ見応えがある。当然ながら、ロープウェイのゴンドラも移動撮影の道具として効果的に使われるが、次の2つのショットが本作中でも白眉だと私は思う。一つは、ダレルの友人が、ミラから離れろと云いに来て、殴り合いになった後、ゴンドラの中に横たわるダレルと助けにきたミラがずっと愛撫する俯瞰ショット。誰が動かしたのか分からないが、ゴンドラが動き出す。もう一つは、ミラがダレルから離れて行くシーン。ダレルがずっと追いかけて来るのをゴンドラから撮った俯瞰ショットだ。ダレルが途中で斜面を転げる。同一ショット内で、ゴンドラの中を引くと、泣いているミラがフレームインする。

 あるいは、ラストのミラの乗った自動車を自転車で追いかけるダレルのシーンもいい。大きな噴水の周りを何周もする大俯瞰。こゝも回転運動だ。最後は道路を画面奥に走って行く超ロングショットになる。本作も明確な収束は描かれない映画だ。そのこと自体は全然良いと思うが、エンディング含めて、全体に散漫な感覚は残る。

(評価:★3)

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