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[コメント] 逃げ去る恋(1978/仏)

幸せな映画だ。映画に描かれている事柄が、というよりも、この映画の在り方自体が幸せだ。ジャン=ピエール・レオーはもちろんドロテーもすばらしい。恋多き男アントワーヌ・ドワネルの最後の女性(?)としての説得力があるというだけでも立派だ。洒落た写真の使い方、取るべくして取られた回想形式もいい。
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どこを切り取っても面白いし泣けてもくるのだが、レオーの憎めないキャラクタ性がよく出ている駅〜列車のシークェンスが特に好きだ。レオーと息子のいいかげんなやりとり(「フォンス、アルフォンス」)。マリー=フランス・ピジェを追って列車に飛び乗り、しかしピジェの糾弾にいたたまれなくなって列車を脱出するレオー。トリュフォーの演出は至るところで冴えを見せているけれども、やっぱりこれはよい意味でレオーありきの映画だと思う。『夜霧の恋人たち』以降、レオーのアクション(身体芸)に付け入る隙はまったくない。すべての瞬間において納得性と予測不能性を両立させている。

(評価:★4)

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