コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 河内山宗俊(1936/日)

言葉に無責任でバラバラな登場人物たちを結び付けているのは、河内山(河原崎長十郎)の真意を探り当てる洞察力である。
G31

 もちろん河内山の洞察力によっては結びついていない人たちもいる。ヤクザ連中がその典型だ。ここでは親分・森田屋(坂東調右衛門)が小<河内山>の役割を演じているわけだが、子分・丑松(助高屋助蔵)らはそれで十分結びついている。洞察力の金型(要するに入力と出力の対応表)を幾つか知っていれば十分だという世界があるからで、それがまさにヤクザの世界だ。個人的にはこの世界もきらいじゃないし、丑松のキャラクターも憎めない。だが河内山の世界とは雲泥だ。

 もう一組、高勢実乗鳥羽陽之助のコンビも誰とも繋がってない。これは言わずもがなコメディリリーフで、彼らが真面目くさった顔して芝居してるのを見てるだけで楽しい、という役。

 言い添えると、原節子宗春太郎の姉弟が言葉に無責任なのは、まだ子供で責任ということの重大さをわかってないからである。 だからこそ河内山らが救ってやろうという話になっているわけだが。

85/100(07/03/17記)

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。