[コメント] 真夜中の虹(1988/フィンランド)
アイディアが量質ともイマイチ冴えず、突き抜けずに定型に収まり残念。銀行強盗の件は明らかに映画史上最強(最低)の出来で、こういうのをもっとブッ込んでほしかった。贅沢ですが。優しいタッチは好感度大。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
冒頭はキートン系の名調子の大盤振る舞い。同僚の唐突な自殺とか、車出した途端に崩れ落ちる車庫とか、北林谷栄が路上に捨てる制帽とか、さっさと逮捕される港湾労働者の元締めとか。この調子で終盤まで駆け抜ければ名作だっただろう。後半の誤認逮捕とか脱走とかパスポート偽造とかの件が上記に比べて停滞している。脱走準備にシーツ切って結わえて、などと詳述するのはこの監督のタッチから外れていると思うんだが。
マッティ・ペロンパーの最後の「ゴミ箱に捨ててくれ」は強度高く印象的。いつも脇役の北林谷栄、じゃないスサンナ・ハービストの主演は嬉しく、さっそくにパパと呼ぶ好感度大の息子はカウリスマキ史上群を抜いた美男子であった。端々に優しさの溢れるタッチは好感度大で、捨て難いものがある。
驚いたのはフィンランドの優雅な監獄生活で、ストライプの制服はお洒落であり、煙草も吸えて板金技術も覚えられるのなら、むしろ入りたいぐらいだが、これは虚構なのだろうか。ボギーの映画は何か判らなかった。メキシコ絡みで「黄金」だったか。ARIELは狭義には、アンデルセンの人魚姫が最後に生まれ変わる風の精とのこと。
インターナショナルのオルゴールがとても印象的で、これは監督の狙いだろう。同じような下層社会を描いてカウリスマキ、ケン・ローチ、ダルデンヌ兄弟と、まるで切り口が違う。いろんな大監督に欧州は恵まれたのだった。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。