[コメント] ローカル・ヒーロー/夢に生きた男(1983/英)
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一見何の変哲もないように見えて、微妙に変人だったり曲者だったりする人たちが、当たり前のように日常に溶け込んでいるシュールで不思議な風景。
(一見)エリート営業マンの奮闘記かと思いきや、大してドラマティックな事件や衝突が起こるワケでもなく。一見本筋から少々外れたネタがタラタラ続きつつ、気付けば微妙に不思議な方へと転がっていく物語。
シチュエーションギャグや皮肉な笑いが次々と繰り出されながらも、全くイヤミなど感じさせない不思議な笑い。クスクス笑った後には、不思議と胸の辺りが温かくなる。
僕はこの映画の中に詰まった、これらの数々の不思議をこよなく愛します。そして奇妙な人たちの些細な営みを、まるでオーロラや様々な形の貝、不思議なプレゼントを岸まで運ぶ潮の流れといった、自然界の神秘でも見るような目で見つめるフォーサイス監督の優しい視線が大好きです。
砂の数ほどの不思議と神秘に満ちた世界の素晴らしさ。そんな世界に気付かせてくれる土地が、電話一本で繋がっているなんて、胸も踊ってしまうではないですか(笑)。そして村人たちは、まるで遠くからでも分かるような目印でもつけるみたいに、せっせと赤いペンキを塗って、いつでも僕らを待っててくれるのです。
マッキンタイヤに限ったことではなくて、この映画は誰の心の中にもきっとある、不思議に通じる「赤い電話ボックス」のベルの鳴らし方を、さりげなく、優しく教えてくれる、そんな映画なんだと思います。
あらためてこの映画の中の人々と世界に、愛情を込めた5点を贈ります。
(2002/8/17 再見)
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