[コメント] モダン・タイムス(1936/米)
「生きる」ということの「イノセント」が「ファンタジー」を生む人間性の再生を見事に表現したGOODムービー
いまやスタンダードとなったチャップリン作曲「ティティナ」でチャップリン映画史上初めてのチャーリーの肉声が披露されることとなった一作でもある。ユナイテッド・アーティスツでの長編時代以来寡作作家となったチャップリンであったが、そのいづれの作品においてもチャーリー史に革新的な施しを見せて意欲的な仕事ぶりは旺盛である。本作はオープニングでも示されるとおり、高度に文明化されつつある生き馬の目を抜くがごとくの現代社会において、人間の野生という未来永劫変わらぬ精神の復興を見つめる姿勢が余すところなく有言実行されており、そのチャップリンが視線を注ぐ、不器用でありながら豊かに暮らすことの希望を忘れない底辺を生きる人々に対する想いは、優しく厳しく、それでいて共にあることの親和性に根差した懐の深い芸術として力強い。シンパシーではなくシェアできることの人間力を教示するチャップリンのメッセージは未来永劫のものであることを信じたい。そう思えばこそなぜか、ポーレット・ゴダード、ヘンリー・バーグマン、ハンク・マンなどチャップリン映画を語る上でかかせない役者陣の相貌にもどこか、無言の暖かさが湛えられて滋味深い作品である。
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