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[コメント] 吸血鬼ドラキュラ(1958/英)

古くから世に幅をきかせているモンスターには、それぞれ重要なキーワードがある。フランケンシュタインは無垢と残酷、狼男は病、そしてドラキュラ伯爵はエロティシズムと倒錯。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







伯爵の毒牙にかかる女たちの、絶望と陶酔が入り混じった表情。「誰か私をあの男から解放して!」と懇願する傍らで他の男の血を貪るなんて、もはや倒錯全開のエロです。ただ個人的にドラキュラの話の好きなトコロは、灰と化し風に一掃される末路。元来形なんて持たないモノに勝手に人間は翻弄されているだけなのかも、と虚無みたいなものを感じたり。

適度にスピーディーな話運びに、整った画面に、適度な残酷描写(とエロス)。まさにスタンダードと呼ぶに相応しい仕上がり。舞台が必要以上に奇を衒っていないからこそ、リーとカッシングの個性が存分に活きているのかもしれませんね。

(2006/12/25)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ぽんしゅう[*] きわ ジェリー[*]

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