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[コメント] 諜報員(1947/露)

矢張り、終盤、ボリス・バルネット本人が演じるキューン将軍が登場した後、特にクライマックスの将軍邸(?)のシーケンスが出色の出来だ。大広間のセット。停電。金庫の開錠とサイレン。
ゑぎ

 窓ガラスを割ってカーテンの陰に隠れる主人公ミハイル・ロマノフ。こゝから、あっと驚くエンディングへ向けた、カッティングが最高。もう笑ってしまったではないか。

 いや、序盤中盤も、カッティングの洗練は随所にある。しかも、省略と反復による非常に経済的な映画作りを感じさせる。例えば、ドイツ領内へ落下傘降下するシーンが2回出て来るが、2回とも、ほゞ同じカット割りで必要十分な見せ方だ。さらに、ラスト直前も同じ飛行機の機内のカットを持って来て、ワンカットだけで、多くの状況を表現するのだ。

 ただし、度々、ロマノフのバストショットでモノローグが入り、状況と心持ちとを説明する部分は、スマートじゃないと感じた。あるいは、建物の瓦礫の前で、諜報員を脅すシーンなんかは、絶叫演技過ぎる。また、序中盤は、ラングなんかと比べると、力のある画面が少ないとも感じた。ちょっと見る前の期待が大き過ぎた。

(評価:★3)

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