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[コメント] キング・コング(1933/米)

真珠湾攻撃する前に内閣と軍部トップ集めてこれ見りゃよかったのに。あの摩天楼と特撮技術とシナリオの深さで国力差一目瞭然だろうに。
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







●コングは最後、女性をビルの脇に置く以外は凶暴なストーカー状態だ。ジャマする連中はどんな野郎でもぶっ殺し島でも人を踏み潰すのを楽しんでいる。更に全然関係ない電車の人達まで殺して憂さを晴らす。まるで子供がカエルやヘビを楽しみの為にたたき殺すのにそっくりだ。2歳児の脳と暴力親父が合体して女優をストーカーするコング。怖いに決まっている。

●ところが凶悪だったコングが誰も見ていない最後になって胸に弾を受けて急に人間らしい表情をする。完全悪役だったコングが急に愛くるしく思えたその瞬間に最後の銃弾がこれでもかと打ち込まれ奴は遠目のカメラ視点から表情が全く見えない「単なる物」としてビルから落下する。そしてこの悲劇を引き起こした当事者である映画監督の他人事の様なかっこいいセリフで映画はズバッと終わる。「おい、これでいいのかよ」と1933年にも観客は思ったはずである。

●視聴者は常に「善悪」を見ている。船で出航する時は女優が善。島についてからは土人が悪。そこからコングに悪が移行し女優の恋人が善。NYに来てからは監督が悪、暴れるコングも悪。ところが土壇場でコングが善!?という大逆転現象だ。何よりも特撮を駆使してコングの凶暴性を強調し恐怖を煽っておいて最後のこの価値観の大逆転。これがこの映画の最大の驚きだ。何よりそれを計算ずくで行っているだろう演出にも驚き。こいつらにもしかしたら戦争で勝てるかも、と思った陸軍上層部はもっとアメリカ映画を見るべきだった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)荒馬大介[*]

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