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[コメント] 風(1928/米)

はたしてあの風に翻弄されたのは、彼女なのか周囲の男たちなのか、それとも我ら観客なのか。
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この主人公ときたらあまりに勝手で甘ちゃんでという「本当に困ったひと」であるのだが、にも関わらず可愛くて可愛くて可愛いくて可愛くてしょうがない。

もう仕草や表情のひとつひとつがびっくりしちゃうくらい愛らしくて、そのおぼつかない足もと(ねらったかのように華奢なつくりのベビーシューズを履いてやがる)や細くてたよりなげな腰のくびれや幼く波打つ邪気のないロングヘアや小さくてやわらかそうな手(これまた何度もアップになる)を見ていると、「ま、仕方ないよ。彼女なら」という気にさせられてしまう。

しかもそんな少女っぽさに満ち満ちた彼女が不慣れな土地で、凄まじい風や人間関係に吹かれてもまれて翻弄されてヨロヨロしたりフラフラしたりしているのだから、たまらない。

この馬鹿娘め!カマトトめ!等と私の中の「女脳」が(あの従兄弟の嫁よろしく)いくら叫んでも、「男脳」が(従兄弟や夫やその友人よろしく)邪魔をするのだ。この猛々しい風の恐ろしさが、複雑な人間関係や心理がわからないというのか!そもそもこんないたいけな少女をつかまえて一体これ以上何を責めようというのだ!

いえいえ、もう何も申しません。いかにもハリウッドらしい都合のよすぎるハッピーエンドも含め、もう全肯定しちゃいます。だってそれくらいあの風や砂ぼこりや雲の動きは恐ろしかったし、その恐ろしさをさらに増幅させる主人公のはかなげな可愛らしさときたら、これまたトルネード級だったんですもの。

(評価:★5)

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