まず出航前の、男達の仕事に対する心、立ち向かう姿、頼もしさ、大切な人との別れ、残されたものの気持ち、これから起こることの予兆…　それら描くべきもの全てが描けていない。その時点でこの先に何の興味も湧かなかった。

さらに出航後の、芽生える友情、連帯感、困難を切り抜ける知的さ、判断力、勇気、力、全て描けていない。あったのは勇気じゃなくて無謀さだけだ。プロの仕事をしているように見えない奴ら。こいつらどうなってもいいと思った。

これがスタローンだったら、冷静な判断をしつつも不運にも巻き込まれてしまい、自分を犠牲にしてでも力の限り何とか切り抜けようとする、みんなの命背負いまくりの泣きのドラマが生まれただろうに。

町で彼らを待つ人々の不安な気持ちも適当すぎた。船がピンチだと知らされた時のダイアン・レインの「あんたが行かせたのよ！」みたいな反応も興醒め。どうしても行かなくてはならなかった、そして誇りを持って行ったんだということぐらい分かってほしい。

愚作だ。