色々なきっかけがあって（揃いも揃って不幸なきっかけではあったけど）、現状打破していく女のお話ってところなんだろうけど、私にとっては彼女が自身の殻を破りかけた事以外、何も打破出来ていないように見えました。そもそもDVDジャケットには「逃げて、逃げて、逃げのびて…」と書かれている。現状打破した挙句、逃げ回るこの女性には、この先一体何が待ち受けているんでしょうか。

自転車や水泳も積極的に練習し、一見前向きに見えるそれらも、実は逃げる為の道具。初めて生きる事を実感し、その場に立ち会っていた女性からも逃げ、ほのかに恋心を抱いた男性からも逃げ、そして警察からも逃げ、彼女は一体どこへ向かうつもりなのか。彼女に図太さを感じる事が出来ればまだ良かったんだけど、それもない。

そもそも輪廻的な事を匂わせている時点で、彼女は結局解脱出来ないんだって言われている気がしたし、この監督がどういった目線で彼女を見つめているのか、そこが私には最後まで判らず、結局中途半端な印象が拭えなかったのが残念。

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08.09.26　記