[コメント] ジュブナイル(2000/日)
いきなりだが、僕はどうしてもアニメが好きになれん。
シネスケで評判のアニメも観ようとしないし、『千と千尋の神隠し』もビデオが発売されてからも興味なしで、やっと観たのはテレビ放映時だった。
何が言いたいのかというと、当然『ドラえもん』の大長編も観ていないと言うことだ。だから、この映画を観たときには、久しぶりに『ドラえもん』の大長編を観たなあ、と思った。(最後の字幕に、「for Fujiko Fujio」と書かれているのを見付けたときには、なるほどと思ったものだ)
それは、僕のジュブナイルな心に触れる感動だった。
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怪獣映画に惚れ込んで、映画ファンの道を進み始めたが、子供っぽい怪獣映画が嫌いだった時期がある。「怪獣映画は子供の映画。」という風潮の中で、「違う!大人の怪獣映画もある。」という反抗心からだった。
でも、今ではあまり気にしなくなった。自分が子供の心を持ち続けていることに気付いたからだ。ゴジラがビルをぶっ壊す。そんな映像を見ると、ストーリーなんか抜きにして興奮している自分に気付いた。
僕は子供だ。
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補足するが、まるっきり子供向けの映画は御免だ。中には、楽しめるものもあるが、決して夢中になることはない(これは、僕が、昔ほど子供ではなくったからだろう)。僕が求めているのは、「子供も楽しめる大人の映画」、あるいは「大人も楽しめる子供の映画」なのだ。(また補足。「子供と大人、両方向けの映画」ではない。対象を大人or子供に決めた上で、子供or大人向けの粉をまぶすのが適当だ)
だから、平成ガメラが登場したときには、「これこそ僕が求めていた映画だ!」と興奮したのだ。
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平成ガメラも「ジュブナイル」も、どちらもそういう類の傑作だ(平成ゴジラは、大人向けとしても子供向けとしても物足りない)。それどころか、見直してみると、「ジュブナイル」と「ガメラ 大怪獣空中決戦」の印象は、見事に重なる。
過去の作品へのあからさまなオマージュ。特撮の迫力。細かい短所など吹き飛ばしてしまうほどの、映画全体の完成度。
エピローグが長すぎるとか、川平慈英はやめてほしかったとか、気になる点はあるが、映画全体からみれば些細なことだ(いや、直してほしいけどさ)。ミニチュアがバレバレだとか、本田博太郎が浮きすぎているとかいうのと同じくらい些細なことだ。子供の演技なんて全然、不自然に思えない。藤谷文子の棒読み台詞のほうが、よっぽどひどかった。
「ジュブナイル」も「ガメラ」も、こんな不満など、ものともせずに夢中になれる、5点をつけられる、そんな映画だ。
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イメージが重なるだけに、「ガメラ大怪獣空中決戦」の点数と比較して、ちょっと悲しくなる。どうして「ガメラ」はあの点数なのに、「ジュブナイル」はこうなのか?ふと、この二つの映画の大きな違いに気付いた。
それは、ガメラが「子供も楽しめる大人向け映画」であるのに対して、「ジュブナイル」は「大人も楽しめる子供向け映画」であることだ。
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