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[コメント] 映画に愛をこめて アメリカの夜(1973/仏=伊)

フランソワ・トリュフォー監督による、映画好きのためのプレゼント。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 映画が好きというのはいくつかの傾向があると思うのだが、私のような中途半端な批評家崩れは映画の裏側というのがとても興味がある。だが、勿論映画の関係者ではないので、それはどうしても憶測や伝聞でしか知ることが出来ないのだが、それをしっかり映してくれたのは感動もの。銀幕を離れれば役者もただの人に戻るのであり、その中で起こる人間的なトラブルからは逃れることは出来ないし、愛情だけでなく、金もそこには絡んでくる。

 そしてそれを調整するのが監督の役割であり、それを良く知っている監督がまるで自分を風刺するかのようにこういう作品を作ってくれたのはとても嬉しい。劇中の台詞で「希望に溢れ撮影を始め、トラブルが起こるや、何とか完成とだけ思う」というのがあるが、トリュフォーほどの監督でもそれを感じるという事に新鮮な驚きを覚え、監督の苦労と言うものを垣間見た気分。そのトラブルを超え、評価される良き作品を作ることが出来る監督こそが本当に一流と呼ばれるのだろうな。

 映画の舞台裏という事になると、似たような作品としてフェリーニの『8 1/2』があるけど、あれは“映画の裏側”と言う位置づけはあくまで付け足しで、れっきとしたドラマなんだから、質は全然違っている。

 本作は観ていてとても楽しい。それで充分だと思う。

(評価:★5)

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