[コメント] 未知への飛行(1964/米)
システムの過誤から、米核搭載機がモスクワへ。世界の命運をかけた密室劇。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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Fail-Safe=核搭載機(艦)が攻撃命令を受けた場合に、一定の条件下で命令を取り消すことの可能な仕組。
『博士の異常な愛情』と同年製作、同じく核時代の危機を描き出した映画。あちらはブラック・コメディだがこちらは至ってマジメ、悲愴さの張り詰めた映画になっている。映画としては『博士の異常な愛情』の方が洗練された傑作かと思うが、主題的にはこちらの方がダイレクトにズシンと来るように思う。(正直今観れば、有名になりすぎた前者より真摯なサスペンスで見せる後者の方が圧倒的に迫ってくるものがある。)
積み重ねられていく密室の駆け引き。モスクワへ暴走する爆撃機を追うも力(燃料)尽きて音もなく墜落していく戦闘機達。親族の説得さえついには敵の謀略として遮断してしまう爆撃機のパイロット。映画は、救いようのない結末へ向って多少の無理さえ感じさせる強引さで現実を引きずり込んでいく。破滅がどういうものなのか、それを見せ付けようとする強固な意志。「光が…!」の叫びには、虚構と分かっていても目を背けたくなる。
“アブラハムの生け贄”という大統領の決断。これにはさすがに「そんな馬鹿な…」と思ってしまうが、考えてみれば、「生き残ったものが勝ち」という不毛な理屈を超克するにはこれくらいしなければならないのかもしれない。
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