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[コメント] ポセイドン・アドベンチャー(1972/米)

アメリカン・ニュー・シネマの風潮に背を向け、あくまでハリウッドらしさを強調していた作品。これからもきっとハリウッドはハリウッドであり続けるのだろう。しみじみと思う。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 とにかく豪華そのものと言った内容で、オールスター・キャストによるストーリー展開も見応え充分。特にジーン=ハックマンの力強さ、何をやるにしても不満たらたらのアーネスト=ボーグナインが最後に見せる決断はストーリー的にも実に上手く作られている。

 それにしてもハックマン、若いねえ。彼には渋めの役が多いが、こういう溌剌とした役も上手い事がよく分かる。あれだけパワフルなヒーロー役なのに、最後に死んでしまうとは意外な展開ながら、それさえもしっかりストーリーに組み込まれているのが見事だった。牧師と言うにはちょっと型破りすぎる気もしたけどね。

 ところでこれが作られた時代を見ると、まさに映画界におけるカウンター・カルチャーとも言えるアメリカン・ニュー・シネマが全盛の時代。スペクタクル作品はあまり顧みられることはなかったはず(これだけの作品でオスカーを逃しまくったのはそれが理由だろう)が、そういう逆風の中でもこう言う作品が作られていたのだな。

 変な現実主義に囚われず、映画ならではのリアリティを追求していくその姿、ハリウッドならではの、ある意味正しい映画の作り方。

(評価:★4)

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