[コメント] 17歳のカルテ(1999/米)
「人格障害」というカテゴリーがあるらしい。それは、正常ではないが、しかし病気でもない人たちのこと。「どこか人と違う」と感じながら、でも「自分は普通」と思っている人たちのこと。「自分は普通じゃない」と悦に入りながら、もしかすると「自分は凡人?」と不安になっている人たち・・・・・・こんなものどれだけ上げても切りがないよ。みんな、白黒つかない灰色の境界線上にいる。
誰もが、スザンナ(ウィノナ・ライダー)の「ナルシズム」(=苦悩の特権化)を持ち、リサ(アンジェリーナ・ジョリー)の「強がり」(=虚勢)を持っている。他人のことに興味なんかない、そのくせ淋しがり屋。そして、女であれ、男であれ、そう簡単に自分をあきらめられるもんじゃない。
宇多田ヒカルも歌ってるじゃない?
「だれかのためじゃなく 自分のためにだけ やさしくなれたらいいのに 一人じゃ孤独を感じられない だからfor you 強くなれるように いつか届くように きみにも同じ孤独をあげたい」(“For You”)
みんな新しいものが大好きで、だからみんな飽きやすくて、あなたを愛してる「理由」も「必然」もあるわけないじゃん、たまたま出会ってしまっただけ。でも、その「たまたま」、偶然の出会いをセレブレイトできる日が来る・・・かも。だから、死ぬほど人を愛してはいけない。
監督のジェームズ・マンゴールドは、初監督作品『あなたに逢いたくて』(出演:リヴ・タイラー)で「変われない人」を描いていたと思う。「変わろうとしない人」だったかも。いや、そんなことはどっちでもいい。「変わる」/「変われない」に関係なく、わたしたちには「変わらなければならない」時が来る。突然に。しかも当然のごとく。『17歳のカルテ』は「その時」を見つめていた。
「傷つき易いまま大人になったって いいじゃないか タイム・リミットのないがんばりなんて続かないよ」(宇多田ヒカル“タイム・リミット”)
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