[コメント] グリーン・デスティニー(2000/米=中国)
つまり、風船のようにふわりと浮かび上がるのか、むんっ、と気をためてからロケットのように飛び立つのかという違いです。僕は断然、後者が好き。スーパーマン(原作からテレビドラマまでたくさんあるので、クリストファー・リーブ主演の映画版、と書いておく)が、風船のようにふわりと浮かび上がるのを見たとき、僕はテレビの前で「違う!そうじゃないいいっ!」と叫んでいた。これは「見るからにワイヤーで吊っているな。」というのとは別の感情だ。スーパーマンの離陸には、そんな不自然さはなかったからだ。僕が求めているのは「かっこよさ」ただそれだけである。ネオも『ドラゴンボール』の悟空も、気をためてから勢いよく飛び上がる。そこがツボにくるのだ。ガメラだって自由に空を飛べるが、重量感を感じるからかっこいいのだ。
くどくなるが、特撮として不自然だから、嫌いなわけではない。それどころか他のコメント読んでいて、一つの有名な話を思い出した。
円谷英二が特撮を撮った後、批判的な意見があった。飛行機の模型を吊っている糸が見える、というのだ。まだ画像のデジタル処理もできない時代、円谷英二はこれをどう対処したか。「そんなのみんな「これは模型を吊ってるんだな。」って思って見てるから、本物に見えないんだよ。」そう言って彼は飛行機を逆さまに吊るし、カメラも逆さまにして、糸が飛行機の下に来るように撮った。みんな吊ってると思って見ているから、糸を下にすれば見付けられないだろう、という理屈だ。
偽物だと思っていると、偽物にしか見えない。『グリーン・デスティニー』で厄介なのは、僕らが常に重力のもとでの生活に慣れてしまっていることだ。だから重力を無視した動きを見ると、「ワイヤーアクションだ。」とすぐに判断してしまうわけだ。なるほど、確かに前半の動きは物理的に不自然だ。地面の蹴っている足に力が感じられない。走るというのは地面からの反発力を得て行うのであり、あれでは走ることなんてできないはずだ。
しかし彼らは空を飛び、水の上で三段跳びをしたりするのだ。彼らが物理法則を超越した人たちであることは、火を見るより明らかだ。これぞ中国の神秘!そんな映画に科学的突っ込みは野暮というものだろう。空を飛ぶことができるなら、地表すれすれを飛びながら走れば、ああいう走り方になるはずだ。
「お前は、どっちの味方なんだ?」と言われそうなレビューになったけど、多少受け入れられない点があったとはいえ、アクションは見応えがありました。
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