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[コメント] ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000/英=独=米=オランダ=デンマーク)

頑固なまでに息子を想うセルマの母親像と、ミュージカルの美に大大大感動!
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 重たい。こんな重たい映画が日本で興収25億円にヒットになるとは・・・。自分が初日に見に行ったが、映画館を出て何とも言えない気分に浸った。某情報誌の満足度調査にもその気持ちを語り、掲載されたという思い出も。。。

 WOWOWでやっていたので、DVD持ってるのにも関わらず見直したが、やっぱり良い。まずビョークが凄まじい。ミュージカルシーンは圧巻だ。見ていて鳥肌が立つ。特にI've Seen It Allが良い。ジェフに「目が見えないのか?」と尋ねられ、セルマが列車の音から妄想に浸り、「私は全て見たの。」と歌うのが響く。セルマが辛い現実から逃避するための妄想という形で登場する計7回のミュージカルシーンは全て1本のミュージッククリップとしても良質のものだ。それに加えて、不幸が重なるセルマにかなり感情移入ができる。自分は母親でもないし、まして女性でもないのに、ここまで感情移入できるのも珍しい。冒頭から息子に表現しているが、常に息子のことを考えるセルマは本当に優しい母親だ。自分自身のことよりも、頑固なまでに最愛の息子の幸せを思いやる気持ちには感動せざるを得ない。ビョーク演じるセルマが良かったからこそ感動したんだと思う。

 確かにラース・フォン・トリアーが感動させようとして撮ってるのが明かという意見も分からなくもないが、そんなことは個人的にはどうでも良い。救いようのないラストシーンも、息子の目が治ったという知らせを聞いて嬉しそうな表情を見せるセルマが印象的だし、「最後の歌ではない」と歌うのも、セルマの台詞を思い出すと印象的だ。セルマが死刑台で歌う曲とエンドクレジットの曲のメロディが同一(冒頭のインストも)なので、クレジットが流れてもセルマが言うように永遠に映画が続いてるような感じにさせられる。全編通してテーマがはっきりしてて、それが自分には良く伝わってきたのが良かった。傑作ですよ、これは。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)RED DANCER[*]

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