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[コメント] アンジェラの灰(1999/米=アイルランド)

ash(名)1:灰、灰がら 2:遺骨、遺骸
Linus

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







基本的に、この手の設定は大嫌いだ!

ダウンタウンのまっちゃんが週刊誌に書いてました。 「アフリカの難民をみんなかわいそうがるけど、貧乏なんだから、 子供をたくさん生めば生活が苦しくなるってわかるだろうよ。 避妊ぐらいしろ」と。

まったく同感なのです。無闇に可哀想がるよりも、セックスすれば子供が 生まれる。ならば避妊して劣悪な環境(飢餓・貧困)に置かれる 子供の数を少なくする教育をした方がいいと、思うわけです。 子供は親を選べない。でも一時の快楽のために生まれた生命、そして 不幸になる悪循環を考えると、親には自業自得、子供には同情、と 半分ずつの気持ちにひきさかれてしまいます。

だから最初、見はじめた時は「もうヤダ、ヤダ、ヤダ」と思って見て ました。やたら子供できては死ぬし。しかし間延びしていると思っていた ストーリーもエピソードが丹念に織りこまれているのだと感じた瞬間、 この嫌悪感は、主人公が子供時代に感じたモノの一部なのだ。 目をそらしてはいけないのだ、という気持ちに変化しました。

特に金貸しのばあさんが老死(?)して、ばあさんの金を盗むシーン。 あれは、まさにドストエフスキーの『罪と罰』のラスコーリニコフだ! と 感動さえしました。子供でも大人でもない男の子は、ああいった瞬間が あるのでは? つまりばあさんが稼いだ金は汚い。 でもばあさんを殺して、この金を善良なことに使えば、 この金は有効に使われるのだ、という至極身勝手な 矛盾だらけの理想論です。でも自分は〈純粋〉だと信じてる時間(とき)。

…という展開になると、大好きな物語に変貌しました。 これは、アンジェラのash(遺骨;死んでしまった子供たち)にならなかった 少年のビルドゥングスロマンだったのだと。

ashはたぶん、ダブル・ミィーニングがあるのでしょう。アンジェラが イライラした時に吸っていた煙草の灰。そして子供達の亡骸。 英語を日本語に変換するのは、つくづく難しいなと思いました。 主人公の少年が、郵便局で中年女性にたてつくシーンも、日本語だと 全部同じ台詞でしたが、あれは文法を全部変えて応答したから、 最後に拍手を貰えたんですよね。(それぐらい博識ってことで?) 確かに『アンジェラの遺骨』なんてタイトルにしたら、ホラーと 思う人が続出したかも。

“頑張れ。戸田奈津子”

オチはそれかい! (因に映画のタイトルは映画会社がつけるらしいです)

(評価:★4)

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