ラブコメの軽躁状態は大抵が物語の前半に配されるものだ、これを後半にもってきて成功しているのが巧み。一見出鱈目な構成も、物語の定型を転覆させようという意欲から絞り出した方法なのだろう。野心的な試みを賞賛したい。

成功例のショップの調理場で働いているのは、失敗例で雇われた（多分違法の）移民、ここで前後半が繋がっている。もうひとつ、刑事と警官の対比というのも利いている。のらくらな制服警官の恋愛という意外な切り口が、物語を躍動させている。

笑わせてくれる伏線付きのギャグもいい。この監督、脚本を書いた方が優れている。