[コメント] さらば、わが愛 覇王別姫(1993/香港)
依存と執着と心の飢え。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
傷つけば傷つくほどに蝶衣は小樓から離れられなくなり、やめられなくなる。 それくらいに蝶衣はコンプレックスの塊であり、小樓に対する執着は依存しすぎる程に依存し、常に強い飢餓感を心に持つ。
小樓は蝶衣の執着を糧に、只々自分を保ちそこから逃れる事は出来ないと思って共に生きてきたはずだ。
だからこそ蝶衣はラストに自害と言う形を取り剣の露に落ち、 小樓は薄くほくそ笑む。
この時、蝶衣は男に生まれて良かったとか、女に生まれてきたかったなどとは思ったハズは無い、只々虞姫として生まれてきて良かったと思ったはずだ。
何故ならば、それが蝶衣が虞姫として生まれてきた運命だから。 虞姫として死ねる事が小樓に対する最高の執着の瞬間であり、そして蝶衣としての最高の決別だから。
そして、それを見てほくそ笑んだ単純な小樓は蝶衣が役の中で死んだ事に解放された解放感と、もう執着される事も無いと言う喪失感に 役の中の項羽と同調した事で笑んだだけなのであろう。
実際、四面楚歌の中、もはや勝てる状態に無いと悟った虞姫は項羽を勇気付けるために自害したのでは無い、 只々、自分の死ぬ様を覇王に見せ付けたかっただけ。
そして項羽は虞姫のそんな心の内など知らず只単純勇気付けられたのだと思っただけなのだろう。
それが、図らずも苦楽を共に人生を歩んでしまった人間の運命だと思わせる、そんな人間大河ドラマ。
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