コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] レディバード・レディバード(1994/英)

 子供を巡る話なのに、子供がほとんど出てこない。子供抜きでの「母親っぷり」。そんなのないでしょ、から話が始まる。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「そんなのないでしょ」というような母親像に向かって努力しなきゃいけないマギィ。でもはじめから彼女に同情はできなかった。実話に基づいている、とはいえ、ここまで共感を呼びにくい母親像で、本人から苦情は来なかったのか、なんて考えてしまった。

 ものを投げ、暴れて、口汚くののしるマギィ。なんで子供を取り上げられたかじっと考えることのない彼女。だから同じ事を繰り返す彼女。自分が端からどう見えるのか、全然考えていないように見える彼女には、正直言って同情できない。子供を取り上げられるシーンはいたたまれなくて、恐ろしかったけれど、それはそれ。「本当にこの女を可哀想に思えっていうの?世の中の子育てしている母親たちにちょいと失礼じゃないの?」と中盤思う。

 よく考えると彼女は結構ラッキーだと思う。ナンパ男が誠実だったなんて、そんな可能性は限りなく低い。ラスト近くまで彼女は自分でそういう小さい幸せをぶち壊しているように見える。「そうなっちゃったのは環境のせいなのよ」と言うだけでは、あまりに怠けているような気がする。

 でもラスト、ホルヘに手をさしのべるシーン、マギィの暴力と暴言でボロボロにされた部屋でうなだれるホルヘにさしのべられたその手。あんだけ自分のことしか考えていなかったマギィだからこそ、このシーンではあの手が大きな希望に見えた。ああきっとこれから彼女は変わっていくんだろう、ホルヘに会えてほんとに良かったね、その幸運を逃すんじゃないよ、といつのまにか彼女を肯定するわけではないけど、応援してしまった。あのラストだけでそう思えてしまう私はとても単純だあ。 こういう引きのクライマックス(って言うのかわからんけど)があるからこそ、ローチが好き。普段の生活ってそういう小さいことの積み重なりだけど、それがとても嬉しかったり悲しかったりするんだよねえ、と思わせてもらえた。

 だからといって、すぐさま「だから政府はひどいのよ」という気持ちにはならない。彼女のその後の変化をきちんと読み込んだ、ということで、「やっぱりお仕事してるんだよね。マギィ一人にかなり時間差いてるしさ。」という気さえした。マギィ中心だけど、その周りも描ききれちゃっているということで、すごいねえ、と感嘆する。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)kazby

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。