[コメント] ヤンヤン 夏の想い出(2000/台湾=日)
やっぱり面白い!謎を謎として突き放しながらプロットを進行させるから、こんなに面白いのだ。尚且つ良いシーン良いカットの連続で、例えば、日本のシーンから台北のシーンへの転換で、メチャクチャ綺麗な青空と雲のカットがある。このカットだけで私は涙が出そうなぐらい感激した。
NJ(お父さん)とかつての恋人との恋愛と、子供2人(ティンティンとヤンヤン)の恋が、マッチカットというかマッチシーンというべきか、呼応するようにつづられていく部分。初めて手をつないだ時の話の後には、若い2人も手をつないで歩くカットが繋がれる、といった部分の緻密な構成。或いはヤンヤンが先生に水をかけた後に逃げ込んだ視聴覚教室で、生命の誕生のようなビデオがかかっている。そこへ女の子がドアを開け入ってくる際に、スカートがめくれて白いパンツと長い脚が映る、という部分のおおらかさ。こゝはちょっと突出したシーンになっている。ラスト近く、ティンティンが見るお祖母さんの夢も感動的だ。小さな蝶の折り紙といった小道具の使い方の巧さもエドワード・ヤンの特徴だ。
もの凄い構築力を感じさせる映画だが、そんな中で、ちょっと作り物臭い細部もある。例えば冒頭の披露宴会場でヤンヤンが女の子たちにいたずら(風船を投げる)をしたあとの女の子たちの大げさなリアクション。或いは水風船を男の先生の上に落としてしまう部分だとか。そして校庭を逃げるヤンヤンを先生たちが追いかける大俯瞰カット。これら作り過ぎな演出も決して嫌味ではなく、まるで相米みたいだなぁと思いながら見たのだけれど。
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