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[コメント] ざくろの色(1968/露)

東方正教というよりも中国雑技団に近い気がする宙吊り世界。教会内の会話はラテン語なのか、これに字幕がつかないのには弱った。アート系映画だから別にいいじゃんとはならんだろう。採点保留。
寒山拾得

冒頭にイコンが何枚も掲げられ、これを映画にしますと丁寧に示される。それは全員がキャメラに向かって正面に対峙する構図の連発。これはアンゲロプロスで有名だが、元祖はこちらなのだろう。ゲオルギー・シェンゲラーヤも『ピロスマニ』で使っていたから、同郷で影響関係があったに違いない。これがとても印象的。

シリアスかユーモアかどちらかに寄ってくれると判りがいいのだが、そうせずに意味を宙吊りにするのが主張なき主張なのだろう。しかし、主張なさ過ぎという気もする(ラテン語が判れば違うのかも知れない)。絨毯を縦横に活用していた一方、書籍は冒頭だけで後半示されないのは、映画にしかたらもういい、ということだろうか。詩の引用も冒頭だけで後半は出てこない。

諸兄のコメントは極彩色の良さを語っておられるが、私の観たフィルムはそうでもなかった。褪色したのだろうか。『アポロンの地獄』と近似する撮影だった。屋外の光景はキアロスタミも想起させられる。少年時代の曝書の件やドーム型のサウナがいい。正教では羊の供犠があるのが発見。一方、お姉ちゃんとのダンスや羊で一杯の葬式はイマイチ撮れていないと思う。

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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