[コメント] 顔のない眼(1959/仏=伊)
夜、走る車の窓から見た木立の風景がクレジットバック。こゝからアリダ・ヴァリが女の死体を川へ遺棄する場面といい、その後の街中のシーンといい、ヴァリと自動車(シトロエン)のシーンがすこぶるいい調子だ。
さらにピエール・ブラッスールの屋敷(病院が隣り合わせなのか)の見せ方もとても面白い。しかし、警察署、刑事のやりとりの部分で停滞する。このあたりのリズムはイマイチなのだ。
手術シーンは、メスで顔の輪郭を切る部分よりも、切った跡に鉗子を詰め込んでいく場面が、痛々しく恐ろしい。目を背けることなく映す。また、顔の移植が成功したと見せて、矢張り、癒着がうまくいかず、壊死、腫瘍化する。その過程を写真(静止画)で見せるのは、まずはコスト的な要請だったのだろうが、これにより、エディット・スコブを冷たく突き放した効果が出ている。結局エディット・スコブが素顔で映るのは、ほんの少しのシーンだけ、というのがいい。曖昧なエンディングも彼女を決定的に突き放したものと云えるだろう。ラストカットまで、カルトムービーに相応しい。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。