高評価にて自分の眼を疑い、10年?振りに再見したが、矢張り感想は変わらなかった。画面の完成度は高い。実録の迫力はある。しかし物語には終始疑問が渦巻く。

日本でも再延長の繰返しによる長期拘留や代用監獄の問題は以前から訴えられてきた。司法の改善を求める映画には『それでもボクはやってない』('07年)を始めとして名作もある。国毎に価値観は異なるから、外国で思わぬ「重罪」を犯してしまう、或いは犯したと見なされる危険があるのも恐ろしいと思う。中国や北朝鮮等の中央集権国家で逮捕・拘留でもされようものなら、それだけでも相当な精神的打撃になるだろう。

しかしこの映画ではその問題を素直に考えられない。アメリカの麻薬問題・銃社会、在日米軍の犯罪者が何人も本国へ逃げ帰った事と重ねずにはいられない。