[コメント] 出逢い(1979/米)
「本当の自分を取り戻す旅」というようなベタな脚本を、そのままドラマとして盛り上げるのではなく、圧倒的な風景と名優の演技が生み出す「空気感」で押し切った演出が見事。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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スター俳優の共演にしては地味な印象の映画だけど、個人的には好きな作品。
そしていつしかふたりは「ノーマン」「アリス」と本当の名前で呼び合うように・・・って、どれだけベタな展開なんだ〜 とは思うし、突っ込みどころも満載な脚本であるには違いないのだけれど、シドニー・ポラックはこの映画をそうした「ドラマ」としては扱っていない。
つまり、すっかり商業主義の奴隷となって酒浸りの日々を過ごしていたロバート・レッドフォードの「内なる葛藤」やら「本当の自分を取り戻す」ことに目覚める過程、なんてところにはほとんど関心を払わず、最小限の描写でさらっと流してしまう。
そうではなく、観客が観るのは、電飾が煌めくラス・ヴェガスの街をゆっくりと歩む「エレクトリック・ホース」が町外れまで来るとフッと闇に消え、パトカーと白バイの追撃をロバート・レッドフォード自ら(スタントを使わずに)馬に乗って振り切り、あるいは重いカメラバッグを携えてピンヒールのブーツでよろよろとユタ州の山地を行くジェーン・フォンダ、という印象的なシーンの数々。
また、抑制が効いた劇伴音楽、ウィリー・ネルソンのカントリー・ソングの効果的な挿入、二人の名優の会話と臨場感豊かな現場録音、という音声トラックの出来の良さが、この「空気感」の映画の感銘を深いものにしていると思う。
それにしてもこの邦題はあんまりだ〜
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