[コメント] カビリアの夜(1957/伊)
元気で明るく振舞う(演技をしている)女性を見るとこれ思い出してダメ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭でカリビアが溺れ死にそうになるのとエンディングで死にそうになるのは彼女本人にとっては全く同じレベルのショッキングな事件だったわけだろうけど。
これって単純に情が移ったという話なのだろうが最初のシーンと最後のシーンで観ている側の感情の移入度が全く違っている。多くの苦難を味わっている人に対する同情のレベル差というのも各人バラバラなわけだが最後にピークに持ってくるとは思わなかった(俺も騙されているって事か)。
この当時のイタリアを想像すると売春婦には今より冷酷な社会だっただろうから冒頭の溺れ死にそうなカリビアには少年達と似たような反応を観客は示したと思える。そうなるとこの最後辺りとの落差は相当なものだったろう。恐らくこの映画はモラルの高い人よりもむしろその逆の人が見た方がショッキングな映画なはずだ。
この明確な意図が存在するので話の組み立て方は相当楽だったはずだ。冒頭部分ではどうしようもない売春婦(騙されやすい)で通して中盤から一気に彼女の深層心理に入っていくようにすればいいわけで変な話だがフェリーニの芯の通った企画力には脱帽だ。企画が良いから自分自身の仕事を面白くする事が出来る。ジャンル違いであろうが創作物に共通する重要なノウハウだ。
にしても映画は別としてこういう女性って程度の差こそあれ世の中に多そう。カリビアに同情すると同時に似たような境遇に陥っている人に対しても感情移入してしまう作品だ。
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