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[コメント] メフィストの誘い(1995/仏=ポルトガル)

登場人物は、ほゞ7人。ジョン・マルコヴィッチカトリーヌ・ドヌーヴルイス・ミゲル・シントラレオノール・シルヴェイラ、あと、使用人の男女と漁師。
ゑぎ

 全体に、邦題にある「メフィスト」を装うかのようなシントラの鬼気迫る表情が一番印象に残る。(原題は「修道院」というシンプルなものなので、邦題を考えた人もシントラに引っ張られている。)

 装置では、建物(修道院)の周りの彫刻等も目につくが、穴、洞窟、といった暗所のロケーションが頻出する。マルコヴィッチとシルヴェイラが研究にいそしむ部屋や、マルコヴィッチとドヌーヴの寝室も、やたらと暗い。森の場面含めて、暗さへの志向は本作の決定的な特徴だ。

 全編ほゞ全てのショットがフィクスだが、そんな中で、2つの移動撮影が突出しており、心揺さぶられるショットになっている。一つは「ルシファーの洞窟」と呼ばれる海岸洞窟の場面で、洞窟上部をドリーで移動して見せるショット。もう一つは「ジュラ紀の森」での、シントラとシルヴェイラのシーン終結部に唐突に挿入される、少しエフェクトをかけたような、後退移動のショット。いずれも、なんて効果的な移動ショットだろう。『アブラハム渓谷』のラスト近く、オレンジの木の下を歩くシルヴェイラの、衝撃的なドリーショットを思い出させる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ジェリー[*]

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