[コメント] バガー・ヴァンスの伝説(2000/米)
最近のレッドフォードはインタビューで、よく昨今の内容ないハリウッド映画を否定している。 その批判先の「今のハリウッド」への解答が、過去賛美と昔へ戻れなのだろうか。
かっきーさんの言うとおり、どの時代・舞台が背景でも成立する普遍的な寓話だと思います。 じゃあ、なぜこの時代が舞台なのかという疑問がどうしても出てきてしまう。 最近のアメリカ映画に多い、2つの世界大戦後のアメリカ社会の美化・賛美。 これはよく言われてる90年代に入ってからのアメリカの保守化を反映しているだろうか。
結局、レッドフォードは、映画という表現の本質について問題視しているんじゃなくて、 アメリカ社会というフィルターを通してしか映画を語ってないんじゃないのか。 もし、「今のアメリカ映画」が内容無いものであるなら、それを作ってきた過程に レッドフォード自身も関わってた以上、単なる過去回帰は見たくない。 進歩的な意味じゃ、若手の役者をこんなクラシックな映画に出させて育てるってことだけしかないのではないか。
映画は、どこにでもある普遍性ある寓話を、これ以上ないまでに、美しく映画化していて、 たぶん、これこそがハリウッド映画の底力なのでしょう。 そういった意味じゃ、内容ない大作に湯水のごとく金をかけることにも意味がある。 ゴルフ場の自然や空、作中の時代の町並、すべてにまったく捨てカットがない。 役者の演技も平均値以上は確保している。 作り手が真摯に作品を作り続ける以上、それを最大限発揮させる環境があることは 素晴らしいことじゃないでしょうか。 『雨あがる』で黒澤監督の遺稿を生かし切れなかった日本の映画界を思うと、悲しい・・・。
鑑賞中は、素晴らしい完成品を堪能し、見終わった後は、いろいろ複雑な感情を抱いてしまった映画でした。
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