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[コメント] 雁の寺(1962/日)

傑作。画面造型としては、ディープフォーカス演出がそうとう目立つ。寺の中の柱や鴨居、欄間等を遮蔽物として、絶妙にマスキングされた構図にも唸ってしまう。
ゑぎ

 また、慈念・高見国一の出立、若狭から京都へ出る際の情景が、回想のように入る部分(おかんは菅井きん)があるが、この雪の中の縦構図、画面奥に兄弟が小さく映っているカットも絶品だ。他にも縦構図では、ラスト前の寺の中の、木村功と高見国一の会話場面で、画面奥に若尾文子が映っている構図も凄い。

 そして伊達三郎が檀家の葬式のシーケンス。重い棺桶を運ぶシーンが笑わせるのだが、しかし、こゝの仰角画面は凄いことになっていく。墓穴の底からの、見た目画面!(前半では肥溜めの中からの見た目画面もあり!)

 そしてそして、ラスト直前の、襖絵の母雁の部分が剥ぎ取られているのを見て取り乱す若尾文子。こゝのカットを刻む感覚には、まったく驚嘆してしまう。やはり、川島の天才が一番分かりやすく理解できる作品がこれではないだろうか。

#備忘で配役等を記述

中村鴈治郎は冒頭のみの出番。若尾を囲っている作家。鴈治郎が若尾の世話を頼んだ住職が、三島雅夫。若尾は「おっさん」と呼ぶ。

山茶花究はモダンな坊主。カメラが趣味。若い嫁さんがいる。

・慈念の中学校(仏教系の学校)の先生で木村功。

・若狭のお寺の住職で西村晃。慈念・高見国一の生い立ちを若尾へ話す。

・エピローグのカラーシーンで現在の住職として小沢昭一が登場する。

(評価:★4)

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