[コメント] マダムと女房(1931/日)
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タイトルバックは新居の天井。畑と竹藪と荒地の間にぽつぽつ一軒家が並んでいる。洋風の貸家を道端で描く横尾泥海男にシルクハットにネクタイの文学士渡邊篤が絡んで、チビとデブのドタバタを展開、風呂屋に飛び込み伊達里子と出会い、渡辺は彼女目当てで貸家に入居。この新興住宅地、電信柱が立ち並びコンクリの家の基礎が並ぶ未舗装の坂道がとても印象深い。
引越しの手伝いした小林十九二らと夜まで麻雀。妻の田中絹代は隣室で待機していて、金がない、脚本の原稿の〆切が五日後と苦情。渡辺は机に向かうが天井の鼠や子供の泣き声など気にして何も捗らず、夫婦喧嘩。評判取った絹代のあなた、あなたの連呼。ガミガミ叱られて渡辺は絹代の若い頃の写真を机に伏せる。絹代は哺乳瓶をおっぱいと云って赤ん坊に与えている。渡辺は朝寝して子供にも怒られる。脚本催促の電報。絹代はさっそく松竹スポンサーのクラブ歯磨を宣伝している。
目に痣のある薬売りが日守進一が訪問して口上述べて薬を並べる。徳利セーターにブレザーの黒づくめで当時にしては長髪をポマードで撫でつけたモボ風で、薬売りはあんな格好していたのだろうか冗談だろうか。時間がないので買ってしまう。
隣宅からツービートのナンセンスソング(絹代はジャズと云っている)が聞こえてきて男女で騒ぐ。渡辺が怒鳴り込むと昨日の風呂屋の女がくわえ煙草で応接。彼女はジャズシンガーで十数名の楽団とリハ中。歓待されて酒が出て演奏されるは「スピード時代」。窓から覗いて絹代は悔しがり、鰹節削りながら♪金襴緞子の帯締めながらと唄い、いい気分で戻った渡辺に「近頃のエロでしょ。エロ100%でしょ」と抓って、ミシンの足だけ踏んで思案顔。貴方、私にも洋服買って頂戴とねだるが相手にされず頭抱える。女房にも色気が大切という教訓話になる。
原稿がスピード時代で完成してバカバカしく収束。絹代は洋髪になり、親子で散歩して、飛行機見て私だって大阪まで乗ってみたいわ、落ちたら男やもめ、落ちるときはふたり一緒よ、と強引に仲直りして、隣から聞こえる「私の青空」をハミングするのだった。再見。
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