[コメント] サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS(2001/日)
笑えて泣けるというエンターテイメントに徹しようとする本広監督と、安藤政信に拍手。八千草薫と寺尾聰も素晴らしい。原作もすごく好き。だけど食い足りない部分と、しつこすぎる部分が両方。だけど、なかなかの良作だと思う。泣けるぜ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ちょっと思ったことなど。
ラスト間近の安藤政信の号泣は、とにかく素晴らしいが、 あそこまで本気の号泣を見ると、逆に観客である自分は少し冷静になった。 なんというか、「安藤政信すごいな」と一瞬だけ映画の外にでた。 確かに、この世にサトラレがいると過程して、若き医師、里見健一の 物語を実話とするならば、あの場であそこまでの本気の号泣をするのは 何一つ間違ってはいない。すこぶる自然と言える。 しかし、映画の世界では、あまり登場人物の号泣をお目にかかることはない。 大体頬から涙を一滴で、号泣したとしてもあそこまで長くは泣かない。 つまり僕は、極めて現実的な「あまり映画で見ることのないシーン」を見ることによって、逆に「変わった映画だな」と映画であることを認識してしまった。
もちろん、不服があるわけではない。 というより、あの場で里見を思いきり泣かせてくれてありがとうと言いたい。
この現実に肉薄すればするほど起こりえるジレンマは、観客のせいでもないし、 役者のせいでもないし、製作サイドのせいではないと思う。 こういうのを誰も気付かないぐらいそっと解消している監督がいるとしたら、 その人はすごいと思う。これから映画を見る時は、そういうジレンマの足跡はないか、そしてそれを上手く隠す技法を使ってないか捜してみたい。
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