これじゃあ200万人死ぬな。

ひとをひとと思わず地獄の釜へ叩き込んでゆく。フルシチョフがどの位の悪意を以てデフォルメされているのかは判らないが，愚かな将校によって一般兵士が次々に斃されてゆく戦争の虚妄を，冒頭のシーンから余すことなく描き，『プライベート・ライアン』に匹敵する。・・ヴァシリはその将校どもを射ち，兵卒を見逃す。

　狙撃手だけにお互い見つけるのが，早い，早い。

ユツルアさん・G31さんも云って居られるが，その「索的能力」とかいう奴，あの映像の使い方にはぼくもいたく感心しました。

　ごめん！G31さん，ぼくにも云わせて。

「あなたの顔に見覚えがあるわ」と言った時，ターニャも貨車の中で目線を合わせた時のことを思い出していて，初めからヴァシリに好意を抱いていた・・・というのは，ぼくも感心したところです。ターニャの笑顔の意味は「覚えていたわよ」という事ではないと思いますが。

ケーニッヒ少佐との一騎討ち前，あれは怖気づいて身動きできない訳ではないですよね。ダニロフがやってきて「ターニャは即死した」と告げたのは，わざと嘘をついたのではないと思います。ターニャの死が，彼にあの行動を取らせたのだから。

　またも戦争映画に大金掛けて興奮と感動を売る。釈然としない気持ちを引き擦りつつ，戦場を知らないぼくは，引き締まる思いで4.5点を与える。