[コメント] タイタンズを忘れない(2000/米)
入場シーンのダサカッコ良さ、震えがくるくらい好きです。そして何より好きなのは、この作品の実話としてのあり方です。
実話をベースに置いた映画というのは多くあります。そして当然、その「実話である」ということが観客に及ぼす影響も様々です。「既知の題材を扱うことで余計な説明を減らし間口を広げる」こともあれば、「一般的にAだと思われている事実をBという異なった側面から観せる」こともあります。この作品は僕にとっては「未知の事実を教えてくれる」ものでした。
このパターンの映画は、未知の題材を提示するだけで観客に驚きや感動を与えるきっかけを掴めるので、スタートから非常に有利です。にも関わらず、この映画に関しては「実話であることを必要としていない」感じを受けるんです。
それはおそらく制作者の意図ではなく、この物語の持つお伽話のような普遍性からくるものだと思います。誰かが書いた差別問題の小説のようであり、どこにでもある青春物語のようでもある。そんな本屋を探せばありそうな物語だからこそ、僕には完成された寓話として受けとめることができ、そしてその教訓を噛み締めた後のプラスαとして、事実である喜びを噛み締めることができたんです。「事実は小説より奇なり」と言いますが、小説よりもオーソドックスな事実で感動させてくれるというのも凄いことなんじゃないかなと思います。
そしてもちろんそんなお伽話のような澄んだ空気で描いてくれた制作者にも感謝します。
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