[コメント] グローリー(1989/米)
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「GLORY(栄光)」というタイトルからするといつもの「アメリカ万歳」映画のような匂いがしますがその類の話では無く、アメリカで起こった内戦、南北戦争で結成された黒人部隊が本来の敵「南軍」だけではなく味方である北軍の中での差別や侮蔑と戦わなければならなかったというアメリカの歴史の暗部を描いた(史実を基にした)ストーリーです。
この映画の見どころは、自らの意思を持たず人に奉仕することだけが「生きる道」だった黒人奴隷が、戦うことで初めて自らの為に自らの手で奴隷以外の「生きる道」を選ぶことができるようになり、初めはまるで原住民そのままの烏合の集団だった黒人兵士たちが戦いを通じて次第に「生きることの意味」、すなわちGLORY(栄光)を勝ち取ることに気付いて行くという変化の過程が上手く描かれているところに尽きます。フォート・ワグナーの戦いに向かう前夜、権力に歯向かい、他人を侮蔑することだけが唯一の生きる道、生きる為のバネだったデンゼル・ワシントン演じる兵士が「俺はこの54連隊が好きなんだ」と告白するシーンで人間として成長したひとりの黒人兵士の姿に感動しました。
それにしてもたとえGLORY(栄光)を勝ち取ることで生きることの意味が見出されるとしても、その方法が「戦争」だったとはあまりに悲しいことです>人間として生きる意味は何か、何のために生きるのかということを柄にもなく深く考えさせられた作品です^_^;
2つ目の見どころ(聞きどころ)はジェームズ・ホーナーのスコア。 ストーリーとのマッチングが素晴らしい。 タイタニックと並んでホーナー氏の代表作だろう。
3つ目の見どころはキャスティング。 マシュー・ブロデリックは撮影当時は26歳とまだまだ若く、なんとなくぎこちなさがあるのですがそれがいい目に出て“初めて部隊を任される指揮官 ”という役どころに上手くハマっていました。クライマックスの浜辺のシーンでも死を予感してビビリまくりながらも決意が固まって行くという表情の変化が上手く出せていました。 それからこの作品でデンゼル・ワシントンがオスカー獲ったそうですが、私はモーガン・フリーマンが居たことがオスカーを獲れた要因でしょう。きっと。 モーガン・フリーマンは他の脇役を引き立たせることができる力のある俳優ですね。
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