[コメント] JSA(2000/韓国)
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パク・チャヌク好きなんですが、今まで観ていなくて、製作から20年の時を経て今更観ました。
「38度線」という政治的緊張の舞台は、実は美味しい「枷」なんですよね。「愛の不時着」とか。見てないけど。
興味深いのは、(「愛の不時着」は分かりませんが)この『JSA』もキム・ギドクの『The NET』や『レッド・ファミリー』も、わりと「中立」の立場で描いていることです。中立というか、韓国側も悪く描いている。なんとなく「どっちも悪いよね」というスタンスに見えるのです。これ、日本映画やハリウッド映画には見られない立ち位置で、日本の戦争映画でも、アメリカのベトナム戦争物でも、「どっちも悪いよね」というスタンスの映画を観た記憶がない。
で、この「どっちも悪いよね」スタンスから透けて見えるのは、「国同士はどっちも悪い」けど「個人は違う」ということのように思えます。「罪を憎んで人を憎まず」的な感じでしょうか。「南vs北」の構図ではなく、「国家(社会)vs個人」の構図という方が正しいのかもしれません。そう言った意味では、南北朝鮮を扱う作品は本来「社会派」なのかもしれません。
そうすると、社会派とエンタメの「境界線」はどこかって話なんですよ。たぶん、「愛の不時着」まで娯楽に徹すると不謹慎の誹りを受けたりするんでしょうな。知らんけど。でもこの『JSA』は、私はいい塩梅だったと思うのです。パク・チャヌクは「情」に訴える映画を撮る人だと私は思っていて、直接的に政治的なメッセージを訴えるのではなく、観客の感情にエンターテインメントとして届けることで、この政治的問題を考えさせようとしているように思います。主義主張一辺倒になりすぎず、娯楽一辺倒になりすぎず、ある意味、正しいエンタメの姿。
余談ですが、久しぶりに思ったけど、イ・ヨンエは美人だな。いまさら「チャングムの誓い」を見ようかな?見ないけど。
(2022.10.04 CS放送にて鑑賞)
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