前作に引き続き臨場感の希薄な冒険活劇。これはこういう作品だと割り切って、目くじら立てずに楽しもう、という訳にはいかない。粗が目立って仕方がない。なんと云ってもイムホテップとアナクスナムンの悪役としての造型が腰砕けなのがいただけない。また、多くの人が指摘する通りイムホテップとアナクスナムンとの熱情を一貫して描かないという選択はまったく浅薄というしかない。主役二人の絆の強さを強調するという意図があったのだとは思うが、悪役を豊かに描いてこそ活劇としての厚みが出る、という基本的なことが判っていないのだ。

　ただし、今作はイヴリン(レイチェル・ワイズ)とアナクスナムンとの女の闘いが救いか。いかにもとってつけたようなイヴリンの憑依・回想シーンは全般に楽しいが、中でも飛行船の上で前作の冒頭の事件を回想するシーンが良い。