数年前にテレビで毎週放送されてた中野監督が演出の５分番組を観ていた。これが滅茶苦茶キレイな映像だった。内容はミネラルウォーターの会社がスポンサーだけあって、世界の美しい水辺の風景を切り取るというものだった。もしかして中野監督はその仕事をきっかけに環境問題への意識が芽生えたんじゃ…と、この映画を観て思った。

　でも今どきそんなの直球で観客に投げつけても誰も喜ばないから、こんなチャラけた若者群像を描いてみたのでは…と好意的に考えてみたけど、実際のところは多分どれも描きたかったから詰め込んでみただけでしょう。ん、いや、それも違うか。むしろ特に描きたいモノなんて何もなかったってのが正解？

　国内・国外問わず、最近の若手監督ってのはＣＭやプロモーションビデオの監督から映画界に進出する人が多くて、映像的にはかなり斬新。でも映画は物語がなくても成り立つＣＭとは違う。こんな半端な内容つけるなら、むしろただのイメージの氾濫にした方がまだいい。

　この監督はどうも「Peace」感に強いこだわりを持ってるようだし、前作ではわりとそのこだわりが伝わる出来になってたと思うが、本作での映画をナメてるような態度にガッカリした。映画監督を続ける気なら、そろそろ大好きな「Peace」をどうすれば物語で伝えられるのか本気で悩むべき。それまではまだホントの映画監督じゃない。他分野から映画界にお邪魔してきたゲストだ（って、やたら偉そうだな自分も）。