[コメント] ココニイルコト(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
長澤監督の作品を3作 それも新しいほうから順に(『天国は〜』→『青空の〜』
→『本作』) 観て、貴重な宝物を得た。
私が (映画ファンの末席を汚す身として) 作品を観る際に重要視するうちの
ひとつ “音楽の使い方がうまい” 監督を新たに発見できたことを、まず素直に
喜びたい。(3作も観てんのに 今頃気づくな! ←自戒)
ジョン・ヒューズ、ランダ・ヘインズ、岩井俊二 といった偉大な先人がベスト3
(私は ベスト3 という 括り・数字 が好きなのだ)にいるので 長澤監督の扱いは、
やはり その次のグループにはなってしまうのだが。
(特に 病院の廊下や回想シーン ⇔ REMEDIOS というのは、あまりに
氏がプロデュースした 『Love Letter』 過ぎる(笑))
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まともな(?)作品評価に移ると。
他所の人が作った “大阪” の作品の中では 出色の出来!
私は堺雅人の大阪ことば も好評価 (撮影順序の問題もあるだろうが 2箇所
ほど 「え“え”んとちゃいますか」 2つ目の “え” がおかしかった。)
私もいまだに他に浮気できない “阪急ブレーブス” にこだわっているのも
泣かせてくれる。
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■ ホワイトボードに “考え事” と書いての外出
■ 新旧の愛人同士が 手切れ金の額を言い合い、「不景気やからな」
などなど。こんな大阪的な 笑いのシーン。 よく醸し出してくれたモンだと、
鑑賞中に何度も 妙に嬉しくなった。 ええ味出してるなぁ と感心。
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★ラスト前 部屋から見える 「星空」に気づかせるシーン
★古道具店店主の 「粋な居眠り」 の種明かし
などもお見事。 「起承転結」 の “承” “転” がスッカスカの 日本映画に辟易
させられた経験の多い私は、こういう 「しっかり具の詰まった食べ物」 の味は
ひじょうに有り難く、美味しく感じるのだ。
2001年 邦画にこういう新しい息吹が芽生えていた事を知らずに申し訳ない気分。
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ただ、最後に一点だけ DVDの特典で聞けた ラジオCMに物申したいのだが
この作品 決して“ラブストーリー”では無いと思うぞ。 たとえあの2人に
恋愛感情があったのだとしても、それでも このお話は その言葉で括っちゃ
いけない。観客側が 勝手に思い込む罪は有り得るとしても、制作サイドが
恋愛物と取られかねない宣伝をするのは そりゃ想像力貧困の極みだ。
2010.7.14 鑑賞
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